お二人のご関係が円満なときは問題ないのですが、その関係性が崩れたり、何かしらの予期せぬトラブルが発生したりしたときに、事実婚契約書があなたを守ってくれます。
「守ってくれる」と言われても、ピンとこないかもしれませんが、先述のとおり「事実婚」は、法律婚と比べると「パートナーへの相続権がない」「共同親権が持てない」など、法的に保護されていない面があるのも事実です。
法律婚夫婦の関係性とは、単純に愛し合っているという関係とは異なり、不当にその関係を破棄することができないなど、法律の保護を受けられる非常に強固な関係性です。
事実婚の場合、法律上の夫婦関係にはあたらないため、法律婚夫婦とまったく同じ保護を受けることはできません。しかし、後述する夫婦間の義務であったり、離婚時の財産分与や慰謝料請求も認められています。
私が考える何より大切だと感じること
上記以外にも、「事実婚契約書」の作成がもたらす大切なことがあります。
事実婚は、法律婚と違って婚姻届の提出も必要がないので、事実婚関係が解消となってしまっても、いわゆるバツはつきません。
もしかしたら気持ちの面でどこか希薄になりがちな関係が、事実婚なのかもしれません。
この「事実婚契約書」を「公正証書」にすることで、私文書から公文書になります。
それは、お二人の関係性を対外的に証明するものとなり得ます。
そして、公正証書作成の過程で、公証人という第三者を前に、お二人で作り上げた約束事を一つ一つ読み上げて内容を確認し、最後に署名押印する一連の流れは、まるで教会での挙式で神父さんに誓いを立てる「儀式」のような手続きとなります。
これにより、それまで以上にお二人が「お互いを生涯のパートナーとして人生を歩んで行くんだ」という最幸の喜び、そして覚悟と自覚に繋がります。
私自身、「事実婚契約書」は、事実婚を選択されたお二人にとっての婚姻届であると考えています。
そして、これから生活を共にする、あるいはすでに共にしている場合でも、「事実婚契約書」の作成過程は、お二人の将来のことやお互いの想いや価値観等と、必然的に真剣に向き合ったり、考えたりする時間となります。
「事実婚契約書」の作成を通じて、「お二人の仲がより深まる」という点もポイントだと考えます。