「事実婚契約書」や「婚前契約書」に記載できない内容とは?~「公序良俗」~
公開日 2022年10月23日 最終更新日 2022年10月23日

今回は、「事実婚契約書」や「婚前契約書」に記載できない内容について、見ていきます。
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そもそも、民法という法律には、「契約自由の原則」という原則が存在します。
(1)「契約自由の原則」って?
人が社会生活を営むに際し結ぶ契約は、公の秩序や強行法規に反しない限り、当事者が自由に締結できるという基本原則のことです。
・契約を締結するのかしないのか
・誰と契約を締結するのか
・どのような契約内容のするのか
当事者の意思で自由に決めていいことになっています。
(2)「公序良俗」って?
あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、民法には以下の条文があります。
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
これは、「法律や一般社会の倫理観とか道徳観などといった常識にそぐわないことを、契約してはダメですよー」といった内容になります。
(1)の「契約自由の原則」でも触れましたが「公の秩序や強行法規に反しない限り」という制限があります。これが、いわゆる「公序良俗」のことです。
(3)具体的に記載できない内容って?
「契約自由の原則」に則って、お二人で自由に約束事などを決めることができますが、「公序良俗」に違反する内容は記載することができません。以下に一例を挙げます。
・離婚について
→ 離婚を前提とすることはできません。
・不相当に過大な条件
→ 例えば、不貞行為の慰謝料や違約金についての内容において「不貞行為を行った場合は3億円支払う」といった内容です。
・親族の扶養義務を放棄することはできない
一定範囲内の親族間において、民法で定められた「扶養義務」が生じます。
ちょっと極端かもしれませんが
・私たちは、両親の面倒をみません
・私たちは、子どもの面倒をみません
などといった内容を記載することはできません。
(4)最後に…
いかがでしょうか?
民法は「人の道に反すること(公序良俗違反)」を認めていません。
「事実婚契約書」や「婚前契約書」も、それにしたがって作成することとなります。
・基本的には、自由な内容で作成していい。
・「常識の範囲内」の内容か?
これらを念頭に置いて、契約の内容をご検討ください。