「事実婚」の相続と税金でのデメリットとデメリットを補う方法
公開日 2021年3月11日 最終更新日 2022年10月2日

ここでは、「事実婚」における税金と相続でのデメリットと、そのデメリットを補うための方法をお伝えします。
目次
【「事実婚」の相続と税金でのデメリット】
事実婚は、法律婚ではない(法律上の配偶者ではない)という点から、以下のデメリットがあります。
(1)パートナーの相続人になれない
これは、事実婚の最大のデメリットと言っても過言ではないかもしれません。
もしも、パートナーが亡くなってしまったら、その財産などはどうなるのでしょうか?
法律上、配偶者・子・両親・兄弟姉妹などは、相続人(法定相続人)になることができますが、配偶者はあくまでも「法律婚」の配偶者に限られてしまいます。
(2)税制面でのメリットを受けられない
事実婚夫婦の場合、法律上の夫婦とは認められないことから、配偶者に適用される以下の税金については、その適用を受けることができません。
①所得税の配偶者控除・配偶者特別控除
法律婚であれば、扶養に入っている配偶者がいる場合、所得税について配偶者控除や配偶者特別控除を受けられるので、所得税を抑えることができます。しかし、事実婚の場合は配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができません。
②相続税の配偶者税額軽減
相続税の配偶者税額軽減とは、配偶者が相続した課税対象の遺産が以下の金額のうちのいずれか多い方の金額以下である場合には、相続税がかからない制度です。
ⅰ. 1億6,000万円
ⅱ. 配偶者の法定相続分相当額
これも事実婚の場合は適用外になっているため、パートナーに財産を遺した場合には、通常の相続税を支払う必要があります。
さらには、相続税には2割加算制度というものが存在します。これは、配偶者と1親等以内の血族(父母・子等)以外の人が財産を取得した場合には、相続税額が2割加算される制度です。事実婚の場合、パートナーは法律上は他人になってしまうため、この2割加算制度に該当します。
③贈与税の配偶者控除
法律婚であれば、贈与税の配偶者控除により2,000万円までの贈与については非課税となります。
しかし、これも事実婚では適用されません。
そのため、事実婚のパートナーに財産を贈与した場合には、通常の贈与税がかかります。
【デメリットを補う方法】
(1)遺言書でパートナーに財産を遺しておく
遺言書の中で「パートナーに財産を遺す」旨のと記載しておくことにより、パートナーに財産を遺すことができます。
ただし、「パートナーに全財産を遺す」と記載したとしても、子どもや父母などの法定相続人から遺留分侵害額請求がなされた場合には、その額を支払わなければなりません。
したがって、遺言書を作成する際には遺留分に配慮する必要があります。
(2)生命保険の受取人をパートナーに指定する
生命保険会社によっては、保険金の受取人を事実婚のパートナーに指定することを認めているケースもあります。
したがって、「楽天生命」など取り扱っている生命保険会社は限定されますが、生命保険の受取人を事実婚のパートナーに指定することで、パートナーが亡くなったた際でも財産を残すことができます。
(3)生前贈与でパートナーに財産を贈与する
生前贈与とは、本人がまだ生きているときに、財産を贈与(譲る)ことです。
先述のとおり、事実婚の場合は贈与税の配偶者控除を受けられませんが、年間110万円までの贈与であれば贈与税はかかりません。
したがって、生前にパートナーに対して計画的に贈与していくことで節税にもなります。
(4)死因贈与でパートナーに財産を贈与する
死因贈与とは、贈与する人の死亡を条件に贈与を行う契約のことです。
生前に「死因贈与契約」を結んでおくことで、パートナーに財産を遺すことができます。
ただし、死因贈与で贈与をうけた財産も、遺言書と同様に遺留分算定の対象になるため、パートナーの相続人から遺留分侵害請求される可能性があります。
(5)税制面でのメリットを受けられない
配偶者の定義が「民法の規定による配偶者であること」(=法律上の配偶者)となっているため、補う方法はありません。
【デメリットは補える!!】
法律をいますぐに変えることは難しいですが、先述のとおり現行の制度の中で補うことが可能です。
事実婚のデメリットをしっかりと確認し、パートナーともよく話し合った上で、お二人が考える最良のパートナーシップを築いていきましょう!