「パートナーシップ制度」とは?
公開日 2020年10月22日 最終更新日 2021年11月5日

2015年11月に東京都渋谷区・東京都世田谷区が施行した「パートナーシップ制度」が、徐々に全国各地の自治体に広まりつつあります。
そこで、「パートナーシップ制度」がどのような制度なのか、その特徴や導入している自治体をまとめてみました。
目次
(1)「パートナーシップ制度」とは?
パートナーシップ制度とは、同性のカップルを「婚姻に準ずる関係」と公認し、お互いをパートナーと定義する制度のことです。
このパートナーシップ制度は、日本の法律で定めたものではなく、各自治体が条例や要綱で定める制度になるため、法的拘束力がなく、該当の自治体のみで効力が発生します(地域限定)。パートナーシップ制度によって同性カップルが受けられる制度やサービスが増えていますが、十分とは言えないのが現状です。
(2)パートナーシップ制度 = 法律上の婚姻関係 ではありません!
注意していただきたいのが、「パートナーシップ制度 = 法律上の婚姻関係」でないという点です。
現在、日本では「同性婚」が認められていないため、先述のとおり、あくまでも同性のカップルを「婚姻に準ずる関係」と公認し、お互いをパートナーと定義する制度ということになります。
(3)「同性パートナーシップ契約書」とは?
当事務所では「同性パートナーシップ契約書」の作成サポートも行っております。
「同性パートナーシップ契約書」とは、同性カップルのお二人の間に婚姻に準じた関係を作るための契約書のことです。
また、お二人が愛情と信頼に基づく真摯なパートナー関係にあることを、お互いに確認しあい、お二人の関係を証明するための契約書です。
契約書と言ってしまうと、何だか堅苦しい感じがしますが、これからのお二人での共同生活についての約束事を書面にしたもので、その内容については、お二人で自由に決めることができます。
詳細はこちら!
https://gyoseishoshi-makoto.com/dousei_partnership_keiyakusho/
(4)パートナーシップ制度の特徴は?
全国各地の自治体に広まりつつある「パートナーシップ制度」ですが、大きく分けると以下の2種類に分類することができます。
①渋谷区型
現在では、東京都渋谷区のみになりますが、「条例が根拠となっている制度」という点が世田谷区型と異なる点です。
条例とは、日本全体に効力のある法律のもとにおいて、各地方公共団体が独自に定めたルールのことで、「地方版の法律」という位置づけになるため、強制力や罰則があります。
以下は、渋谷区のパートナーシップ制度の詳細になります。
【パートナーシップ証明を申請できる人】
お二人が以下のの全てに該当することが必要です。
・渋谷区に居住し、かつ、住民登録があること
・20歳以上であること
・配偶者がいないこと及び相手方当事者以外のパートナーがいないこと
・近親者でないこと
【費用】
「パートナーシップ証明書」の交付に300円かかります。
【必要書類】
・運転免許証、パスポート、写真付きの住民基本台帳カード、マイナンバーカードのいずれか1点
・お二人それぞれの、戸籍謄本又は戸籍全部事項証明書
・パートナーシップ契約に関する公正証書
・任意後見契約に係る公正証書
②世田谷区型
渋谷区以外の自治体がこの世田谷区型に該当します。
特徴は、渋谷区型が「条例」が根拠の制度であることに対し、世田谷区型は「要網」が根拠となっています。
要網とは、役所の内部ルールです。同性カップルに対して、業務上不平等がでないように、要点をまとめたマニュアル(共通意識)のようなものです。
自治体ごとに要件や必要書類等に違いはありますが、以下に一例として横浜市のパートナーシップ制度の詳細を記載します。
※横浜市のパートナーシップ制度は、「パートナーシップ宣誓制度」という名称ですが各自治体により名称は異なります。
【宣誓の要件】
次の全てに該当する性的少数者や事実婚の2人
・成年に達していること
・横浜市民であること。または一方の方が市民で、他方の方が転入を予定(3か月以内)していること
・婚姻していないこと
・宣誓者以外の方とパートナーシップ関係がないこと
・近親者などでないこと
【費用】
宣誓書の提出や宣誓書受領証等の交付は無料です。
【必要書類】
・現住所を確認する書類(住民票の写しまたは住民票記載事項証明書)
・婚姻していないことを証明する書類(戸籍抄本等)
・本人確認ができる書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等)
(5)メリットは?
導入している自治体によって異なりますが、申請が受理された際に発行される「パートナーシップ証明書(自治体により名称が異なる)」を提示することで以下のメリットがあります。
・区営住宅や市営住宅などへの入居申込みが可能になる
・住宅ローンを借り入れるサービスを受けられる(金融機関による)
・生命保険の死亡保険金受取人になれる(保険会社による)
・携帯電話の家族割引の対象になる(携帯電話会社による) など
(6)「パートナーシップ制度」導入自治体一覧(2021年10月11日現在)
以下のページに一覧があります。
※2021年10月11日現在で、130の自治体が「パートナーシップ制度」を導入しています。
(7)まとめ
いかがでしたか?
「パートナーシップ制度」を導入する自治体は、近年大きく広まりつつありますが、「法律上の婚姻」ではないため相続権などは認められません。しかし、「パートナーシップ制度」の普及により、同性カップルが受けられるサービスが増えてきているのも事実であり、大きな一歩だと考えます。
この各自治体の動きが国を動かすきっかけになるかもしれませんね。
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