「公正証書遺言」とは?

公開日 2020年9月16日 最終更新日 2020年9月16日

遺言書には、主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つの方式があります。

今回は、「公正証書遺言」の特徴やメリット、デメリット等についてお伝えします。

※「自筆証書遺言」については、こちらをご覧ください。

「自筆証書遺言」って?

 

(1)「公正証書遺言」とは!?

「公正証書遺言」とは、公正証書として公証役場で作成し、保存してもらう遺言のことです。

公証人という法務大臣が任命した法律の専門家が、公平かつ中立な第三者という立場で法律に則った方式で作成するため、遺言書の書き方に不備があって遺言自体が無効になったり、改ざんや破棄の心配もなく、最も安全で確実な遺言書といっていいでしょう。

なお、2018年のデータになりますが、公正証書遺言の作成件数は、110,471件です(日本公証人連合会のホームページより)。

※公正証書については、こちらをご覧ください。

「公正証書」って何? その意味と効力とは?

 

(2)作成においてのルールは?

民法という法律に以下のように定められています。

 

①証人2人以上の立会いがあること。

②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

③公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。

④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を附記して、署名に代えることができる。

⑤公証人が、その証書は前4号に掲げる方式に従つて作つたものである旨を附記して、これに署名し、印をおすこと。

 

(3)メリットは?

①改ざんや紛失の恐れがない

作成した「公正証書遺言」は、原本が公証役場にて保管・管理されるため、改ざんや紛失の恐れがありません。

 

②遺言書が無効になる恐れがない

法律の専門家である公証人のもとで作成されるため、方式の不備による無効になることがほぼないと言ってもいいでしょう。

 

③検認の手続きが不要になる

自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要となります。

公正証書遺言であれば、この「検認」が必要ありませんので、遺言者が亡くなった後、相続手続きをすぐに開始することができます。

 

※「検認」には、遺言書の偽造・変造を防ぐこと、遺言書の存在・内容を相続人に知らせる目的があります。

「検認」をするためには、被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本や、相続人の戸籍謄本、住民票などを提出する必要があり、少し手間がかかります。

 

④字が書けなくても遺言書を作成できる

自筆証書遺言では、遺言者本人が全文を自署しなければならないため、字が書けないと作成できません。

それに対して、公正証書遺言の場合は、公証人が作成します。
基本的には、遺言者は署名捺印が必要ですが、字が書けない場合は公証人が代筆することも認められています。

また、公証人役場へ行くことができなくても、公証人が入院先の病院や自宅まで出張もしてくれます。ただし、これには別途、公証人の日当や交通費を負担する必要があります。

 

(4)デメリットは?

①作成に費用がかかる

以下のように、遺言の対象とする財産の価額に応じて、公証人へ納める手数料が決められています。
財産の価額が高ければ公証人さんの手数料も高くなります。

目的の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1,000万円以下 17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 29,000円
5,000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 4万3,000円に超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 9万5,000円に超過額5,000万円までごとに1万1,000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

※全体の財産が1億円以下のときは、「遺言加算」が発生し1万1000円が加算されます。

※手数料の一例

ⅰ、1,000万円の財産を事実婚の妻1人に遺贈させる遺言
公正証書遺言作成(17,000円)+遺言加算(11,000円) = 28,000円

ⅱ、1億円の財産を妻に7,000万円と長男に3,000万円相続させる遺言
公正証書遺言作成(妻:43,000円)+(長男:23,000円)+遺言加算(11,000円) = 77,000円
   ※遺言により相続する人が複数人存在する場合、それぞれに手数料がかかります。

 

②完成までに手間と時間がかかる

公正証書遺言の作成にあたって、公証人と打ち合わせをしたり、戸籍謄本や印鑑証明書、固定資産評価証明書などの書類も準備したり、完成までに手間と時間がかかります。

 

③遺言の内容を知られてしまう

公正証書遺言を作成する際に、遺言の内容を公証人に伝える必要があります。

また、公正証書遺言の作成にあたり、証人が2人必要となります(相続人や親族は証人になることができません)。

公証人と証人に遺言の内容を知られてしまうので、遺言の内容を絶対に秘密にしておきたい方には不向きです。

 

(5)まとめ

いかがでしたか?

公正証書遺言は、時間も手間も費用も掛かりますが、最も安全・安心・確実に遺言を遺す方法と言ってもいいでしょう。

行政書士などの専門家にご相談の上、公正証書遺言を作成することで、より安心確実な内容の遺言を遺すことが可能となります。

当事務所でも「公正証書遺言」の作成サポートをしております。

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