認知をする前に夫が急逝してしまった場合の子どもへの相続

公開日 2020年6月11日 最終更新日 2020年6月14日

『事実婚のお二人の間に生後間もないお子さんがいらっしゃるケースで、認知をする前に、旦那さんが急逝してしまった…。その旦那さんの財産をお子さんが相続することができるのか。』

 

今日は、このようなケースについて解説していきます

 

(1)母子関係の成立について

事実婚関係にあるお二人の間に生まれたお子さんは、法律的には「非嫡出子(法律上の婚姻をしていない男女の間に生まれた子どものこと)」となります。

 

最高裁判所の判例によると

「母とその非嫡出子のとの間の親子関係は、原則として分娩の事実により当然に発生する」とされています。

従って、母子関係は、分娩の事実によって成立します。

 

(2)父子関係の成立について

父子関係については、「認知」という手続きをしなければ、戸籍上、お子さんには父親がいないことになってしまいます。

 

※「認知」とは?

男性が子どもを「私の子です」と認める手続きのことです。これにより、父子の間に法律上の親子関係が成立し、相続権や扶養義務が発生します。

 

 

(3)「死後認知」という方法

旦那さんが認知をする前に亡くなっている場合は、亡くなってから3年以内に「死後認知」を請求する方法があります(お子さんの住所地を管轄する家庭裁判所へ訴訟を提起します)

本来であれば、父親が被告となりますが、亡くなっている場合は、代わりに検察官を被告とすることになります。

「死後認知」が認められると、お子さんが生まれた時に遡って父子関係があったこととみなされるため、お子さんにも相続権が発生します。

 

(4)「胎児認知」とは?

認知は、お子さんが母親のお腹にいるときから可能です。これを「胎児認知」と言います。

母親の承諾が必要となりますが、今回のケースのように、いつ何があるかわかりませんので、胎児の段階で認知しておき、父子関係を出産前にはっきりさせておくという目的のために設けられました。

ちなみに、事実婚夫婦のブロガーのはあちゅうさんとAV男優のしみけんさんは、胎児認知をされています。

 

(5)まとめ

いかがでしたか?

本来であれば旦那さんが亡くなる前に認知をすることが望ましいですが、さまざまな事情等により、それができないケースもあるかと思います。

今回のケースでは、「死後認知」という方法で、旦那さんが亡くなってからでも認知を求めることができます。

それには、亡くなってから3年以内という期限もあります。

ご検討されている方は、お早めに弁護士の先生へご相談ください。

 

 

 

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