事実婚でも遺族年金を受給するには?
公開日 2020年6月8日 最終更新日 2020年6月8日

今日は、配偶者が亡くなった際に、残された家族に支払われる「遺族年金」において、お二人が「事実婚」である場合の取り扱い等についてお伝えします。
実際に当事務所へのお問い合わせでも
「事実婚でも遺族年金を受給することはできますか?」といった内容のものもございます。
結論から申し上げますと、遺族年金は事実婚の配偶者でも受給できる場合もあります。
そのためには、お二人が事実婚関係であることを証明する必要があり、法律婚の配偶者と比べると手続き等が少し複雑な点もありますが、日本年金機構に「事実婚である」と認定されれば、遺族年金を受給することができます。
(1)遺族年金とは?
遺族年金とは、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった方が亡くなった際に、その方によって生計を維持されていた遺族が受けることができる年金のことです。
遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、死亡した方の年金の納付状況などにより、いずれかまたは両方の年金が支給されることとなります。
遺族年金を受け取るには、亡くなられた方の年金の納付状況・遺族年金を受け取る方の年齢・優先順位などの条件が設けられています。
(2)法律上では、どうなっているの?
①遺族基礎年金
国民年金制度について定めた「国民年金法」という法律には、以下のような条文があります。
②遺族厚生年金
労働者が加入する年金保険について定めた「厚生年金法」という法律には、以下のような条文があります。
このように法律にも、事実婚の配偶者も「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の受給対象であることが明記されているので、事実婚の配偶者も一定の要件を満たせば遺族年金を受給することが可能です。
(3)受給の要件とは?
事実婚でも遺族年金を受給するには、以下の要件を満たす必要があります。
◆事実婚として認定されること
①当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること
②当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること
これらが存在する場合、事実婚として認められます。
◆生計維持関係が認められること
①収入要件(年収850万円未満)を満たしていること
②以下の生計同一要件を満たしていること
ア 住民票上同一世帯に属する
イ 住民票上世帯を異にしているが、住所が住民票上同一である
ゥ 住所が住民票上異なっている場合は、
・現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしている場合、又は
・単身赴任等のためやむを得ない事情により住所が住民票上異なっているが、生活費等の援助が行われ、定期的に音信、訪問があり、その事情が消滅したときは、起居を共にし、消費生活上の家計を一つにすると認められる場合
(4)事実婚であることを証明するには?
事実婚であることを証明する資料として、以下があります。
※必要資料等は、事前に最寄りの年金事務所にご確認ください。
(5)その他必要書類(申立書)
日本年金機構のホームページに
「生計同一関係・事実婚関係に関する申立をするとき」というページがあります。
その中から
「事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書(遺族年金・未支給・一時金)」
という資料がダウンロードできますので、こちらの提出も必要となります。
(6)まとめ
いかがでしたか?
◆事実婚として認定されること
◆生計維持関係が認められること
この2つが認められれば、事実婚でも遺族年金を受給することができます(必ずとは断言はできません)
受給できるかどうかは日本年金機構の審査にかかっています。
審査を通過するためには、「お二人が事実婚関係であること」を証明するための資料が不可欠です。
万が一のことも考えて、日頃から少しだけでも意識して、資料等を準備しておくと安心ですね。