大きく変わります!改正相続法が令和元年7月1日よりスタート!

公開日 2019年7月1日 最終更新日 2019年7月2日

今日のテーマは、「令和元年7月1日から施行された改正相続法」についてです。

平成30年7月6日に「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が成立し、同年7月13日に公布されました。
この改正は、相続法では約40年ぶりの大きな見直しとなります。

そして、本日(令和元年7月1日)に、改正相続法が施行されました。

 

例えば、夫(妻)に先立たれてしまった場合、残された配偶者が安心してその後の生活を送れるようにするための方策などが導入されます。自分が亡くなったとき、あるいは大切な家族が亡くなったときに必ず発生する、誰もが避けて通ることができない「相続」に関して、ぜひ知っておいていただきたいポイントが多くあります。

この機会に是非、ご参考にしていただけましたら幸いです。

 

では、どのように変わったのか具体的に見ていきましょう。

 

※以下の(1)~(4)は、令和元年7月1日に施行。(5)~(7)は、すでに施行あるいは、これから施行される内容となっています。

 

 

(1)遺産分割前の預貯金の払い戻しが可能に

今までは、死亡により凍結された銀行口座からは、相続人全員の署名と実印、印鑑証明書がなければ、銀行口座から預貯金をおろすことができませんでした。そのため、生活費や葬儀費用の支払いなど、遺産分割が終了するまでの間、残された方々の生活に影響が出てしまうケースも少なくありませんでした。しかし、今回の改正により相続人全員の印鑑がなくても、一定額であれば、他の共同相続人の同意がなくても相続人の一人が単独で預貯金をおろすことが可能となりました。

※ただし、おろすことができる金額は、死亡時の口座残高のうち、ご自身の法定相続分の3分の1までとなります(金融機関ごとの上限金額は150万円です)。

 

 

(2)相続人以外の者の貢献を考慮するための特別寄与分

今までは、被相続人(亡くなった人)の介護等に対する寄与分(被相続人の生前に、その財産の維持や増加に影響するような貢献をした相続人がいる場合、他の相続人との間の不公平を是正するために設けられた制度)の請求は、相続人にしか認められていませんでした。

しかし、今回の改正で、相続人以外の親族にも、特別寄与分として、金銭の請求が認められるようになりました。具体的には、相続人以外の親族(子の配偶者等)が被相続人の介護や看護を行った場合に、相続財産の分配を請求することができるようになりました。

 

 

(3)自宅の贈与や遺贈が特別受益の対象外になる

今までは、夫婦の間で居住用不動産を遺贈や贈与した場合でも、その評価額が相続のときには遺産分割の対象となっていました。

しかし、それでは「残された配偶者が生活に困らないようにしたい」等の思いで贈与や遺贈した被相続人の意思に反することになりかねないことなどから、遺産分割の対象外となりました。

具体的には、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産を贈与や遺贈した場合は、持戻し免除の意思表示があったものと推定し、持戻しを免除しない意思表示があった場合のみ、持戻しを行うこととされました。

 

※特別受益の持戻しとは?
相続人が複数人いる場合において、一部の相続人が被相続人からの贈与や遺贈によって特別に受けた利益のことを特別受益と言います。この特別受益があった場合、特別受益の価額を相続財産の価額に加えて相続分を算定し、その相続分から特別受益の価額を控除して特別受益者の相続分は算定されます。このように相続分を算定することを特別受益の持戻しといいますが、被相続人が特別受益の持戻しを免除する意思を表示した場合は、持戻しは免除されます。

 

 

(4)遺留分制度の見直し

遺留分とは、相続人に法律上で保証された相続財産の一定の割合のことです。また、被相続人がこの割合を超えて贈与や遺贈をした場合には、その相続人は、侵害された相続財産を取り戻すことができます。この権利を、遺留分減殺請求権といいます。

今回の改正で、遺留分請求は金銭での支払いへと一本化されました。

これまでは、贈与または遺贈された財産そのものを返還する現物返還が原則で、金銭での支払いというケースは例外でした。しかし、これでは共有関係が発生し、共同で一つのものを所有し、その共同所有の割合としての持分を有することになります。それでは、何かと不都合が生じる場合もあるため、すべて金銭にて支払いをすることとなりました。

なお、遺留分を請求された側がすぐに金銭の用意ができないときは、裁判所に対して支払期限を許可してもらえるよう申し立てることができます。

 

 

(5)自筆証書遺言に関する見直し(平成31年1月13日施行)

自筆証書遺言は、これまでは、本文、財産目録もすべて自筆でなければ、有効な遺言とされませんでしたが、その要件が緩和され、財産目録に関してはパソコンでの作成や通帳のコピーを添付することが認められるようになりました。

なお、自筆ではないものを添付する場合は、そのすべてのページに署名と押印が必要となります。

 

 

(6)法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる(令和2年7月10日施行)

自筆証書遺言には、保管方法や発見されない等の問題がありました。

今回の改正により、法務局に遺言書を保管してもらうことで、紛失防止、遺言書の存在の把握等が容易になります。

遺言書の保管申請は、遺言者の住所地、本籍地、遺言者が所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局に対して行います。申請は遺言者本人が法務局に出向いて行う必要があります。

また、法務局で遺言書を保管すると、検認(遺言者が亡くなった後、家庭裁判所での手続き)が不要になります。

 

 

(7)配偶者居住権の創設(令和2年4月1日施行)

被相続人が所有する建物に無償で居住していた配偶者は、被相続人が亡くなった後も、同じ建物に住み続けることができる権利が新設されます。この権利のことを、配偶者居住権と言います。この配偶者居住権は、遺言あるいは遺産分割で取得することができます。

また、その居住していた建物が遺産分割によって、その帰属が確定した日、または相続開始時から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間、無条件で継続して建物に住み続ける権利も新設されました。この権利のことを、配偶者短期居住権といいます。

※配偶者とは、あくまでも法律上の配偶者に限られ、事実婚の配偶者はこれに含まれないとされています。

 

 

(8)まとめ

いかがでしたか?

今回の改正では、これからの人口に占める高齢者の割合がますます増加する時代に対応するため、保護されるべき人の枠が広がったのが大きな特徴です。

また、誰もが避けては通ることができないのが「相続」です。

改正相続法を正しく理解し、最大限に活用して、相続を円満に乗り切りましょう。

 

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