事実婚でも死亡保険金の受取人になれる!押さえておきたい3つのポイント

公開日 2019年6月23日 最終更新日 2019年7月8日

今回のテーマは、「事実婚のパートナーを死亡保険金の受取人にしたい!」です。

これは、現在事実婚の方、あるいは事実婚を考えている方で、自分に万が一のことがあった場合に備えて、大切なパートナーを死亡保険金の受取人に指定したいとお考えの方に、ぜひ知っておいていただきたい知識の一つです。

なぜなら、事実婚のパートナーでも一定の条件を満たせば、死亡保険金の受取人に指定することができる可能性があるからです。

ここでは、大きく分けて以下の3つのポイントについて見ていきます。


①保険会社が定める条件を満たせば、死亡保険金の受取人を事実婚のパートナーにすることは可能

②保険会社に断られた場合でも、生命保険の受取人を事実婚のパートナーにするための方法

③事実婚のパートナーは、相続税が控除されないので注意が必要

では、早速見ていきましょう。

 

(1)生命保険とは?

病気になったり、他界してしまったりなど、もしもの時に、保険金や給付金を支払うことを約束したものです。

生命保険には、死亡保険・医療保険・介護保険などさまざまな種類があります。中でも、死亡保険では、被保険者(保険に加入している人)が亡くなったり、高度障害になった場合、契約で決められた受取人が保険金を受け取ることができます。

生命保険は、家族と生活のため、万が一のときに備えるものと言えますね。

次項からは、死亡保険についてご説明します。

 

 

(2)死亡保険金の受取人になれる人は?

生命保険の死亡保険金の受取人に指定できる人は、一般的に配偶者および二親等以内の血族となります。

二親等内の血族とは、具体的には、父母・祖父母・子ども・孫・兄弟姉妹が該当します。

 

 

(3)事実婚でも死亡保険金の受取人になるには?

先述の「配偶者」とは、あくまでも法律上の配偶者のことで、婚姻届を提出していない事実婚の配偶者は含まれません。

しかし、以下の条件を満たすことで事実婚の配偶者でも、死亡保険金の受取人になれる可能性があります。

① お互いに戸籍上の配偶者がいないこと

例えば、お互いあるいは一方に、法律上の配偶者がいるのに、別の女性(男性)と同居していて事実婚関係(重婚的内縁関係)にあるようなケースでは、死亡保険金の受取人になることはできません。

② 保険会社が定める期間、同居していること

保険会社によって異なりますが、おおむね3~5年間と定められている場合が多いようです。

③ 保険会社が定める期間、生計を同一にしていること

保険会社が定める期間、同居していたとしても、生計が同一でなければ、ただの同居人とみなされる可能性があり、事実婚関係とは判断されないケースも考えられます。

※各保険会社で定められた条件等がありますので、詳細につきましては、直接保険会社へお問合せください。

 

 

(4)事実婚関係を証明するために必要な書類等は?

前項(3)の各条件を証明するために以下の書類等が必要となります。

ただし、あくまでも一例のため、実際の手続きの際は、保険会社に直接確認していただく必要があります。

①お互いの戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)

お互いに戸籍上の配偶者がいないことを確認するために必要となります。

②住民票

妻(未届)、あるいは夫(未届)の記載があり、保険会社が定める期間同居しているか、住民票を見れば明らかとなります。

③それぞれの収入証明や健康保険証など

例えば夫の収入を主として生計維持しているという証明(家賃や水道光熱費の引き落とし口座の名義人となっている)のため、領収書や通帳のコピー等が必要です。

また、健康保険の扶養になっている場合、健康保険証のコピーも事実婚関係を証明するものとなります。

 

 

(5)各保険会社の対応状況は?

主な保険会社のホームページで、事実婚でも死亡保険金の受取人に指定できるかについて調べてみましたが、詳細は掲載されていませんでした。こちらについても、保険会社に直接確認していただく必要があります。

①ライフネット生命

お互いに戸籍上の配偶者がいないこと、同居期間といった条件の違いなどによって、保険金額に上限を設けての引き受けとなる場合や、契約の引き受けができない場合もある。また、加入にあたり、契約者宅を訪問し、面談にて申込内容などについて確認する場合もある。

②楽天生命

以下の条件を満たす必要がある。

・ お互いに戸籍上の配偶者がいないこと

・ 同居期間が3年以上で、生計を一にしていること

・ 所定の書類の提出

※必要書類の提出方法については、申込み後に別途案内がある

③アクサダイレクト生命

事実婚の方を死亡保険などの受取人に指定することはできず、配偶者および二親等以内の血族に限る。

④日本生命

基本的に配偶者および二親等以内の血族となるが、これら以外の方を死亡保険金の受取人に指定する場合は、個別に理由等を確認する。

 

 

(6)もしも、保険会社に断られた場合は・・・

いざ保険会社に審査を申し込んだものの、断られてしまった・・・。その場合、事実婚のパートナーを死亡保険金の受取人に指定できないのかと言ったら、そんなことはありません。

遺言書を作成することで、事実婚のパートナーを死亡保険金の受取人に指定することができます。

保険契約の成立などを定めた「保険法」という法律には、以下のような条文があります。

保険法 第44条

保険金受取人の変更は、遺言によっても、することができる。

二 遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない。

このように法律にも明記されています。

具体的な方法は、死亡保険金の受取人を一旦、二親等以内の血族(父母・祖父母・子ども・孫・兄弟姉妹)に指定します。

その後、遺言書を作成し、「死亡保険金の受取人を内縁の妻とする」旨を記載しておくことで、契約上の受取人ではなく、遺言書で指定された受取人が優先されることになります。

ただし、遺言書は確実に法的な効力を持つものでなくてはならないため、弁護士や行政書士など専門家に遺言書の作成を依頼すること、安心で確実です。

 

 

(7)注意点

実際に死亡保険金を受け取る際の注意点についてです。

亡くなった方(被相続人)の配偶者が相続した財産が、以下の金額のうちのいずれか多い方の金額以下である場合には、相続税がかからないという制度があります。

①1億6000万円

②配偶者の法定相続分相当額

こちらも、あくまでも法律上の配偶者のみが対象となっているため、事実婚のパートナーでは、この制度を利用することができません。

また、死亡保険金は、法定相続人であれば相続税の控除を受けることができますが、事実婚のパートナーは、法定相続人ではないため、こちらも優遇を受けられません。

さらには、一親等の親族以外の人が財産を相続すると相続税2割増しにするという制度もあり、それには事実婚のパートナーも該当します。

従って、法律上の配偶者よりも相続税が高額になってしまう可能性もあるため、注意が必要です。

 

 

(8)まとめ

いかがでしたか?

事実婚でも死亡保険金の受取人になれる可能性がありますが、保険会社によって条件などが異なるため、現在契約している、あるいはこれから契約を考えている保険会社に確認する必要があります。

【ポイントのおさらい】


①保険会社が定める条件を満たせば、死亡保険金の受取人を事実婚のパートナーにすることは可能

②保険会社に断られた場合でも、生命保険の受取人を事実婚のパートナーにするための方法

③事実婚のパートナーは、相続税が控除されないので注意が必要

事実婚のパートナーが死亡保険金の受取人になることは、少々ハードルが高いですね。

しかし、事実婚のパートナーでも死亡保険金の受取人に指定できる保険会社も増えてきているようで、事実婚の認知度が高まってきているのでは?と感じています。

この機会に将来について、パートナーと話し合い、万が一のときのことを考えるなど、よりお二人の関係性や絆が深まりましたら幸いです。

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