【ニュース】民法「懲戒権」の見直し

公開日 2019年6月3日 最終更新日 2019年6月4日

先日、以下のとおり「民法の懲戒権の見直し」が法制審議会で諮問されるとの報道がありました。

 

山下貴司法相は5月31日の閣議後の記者会見で、子の教育や監護に必要な範囲で親に認めている民法の「懲戒権」の見直しを法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針を示した。児童虐待問題が相次ぐなか、懲戒権が親から子への虐待を正当化する口実として悪用されているとの指摘がある。法制審では懲戒権の削除や表現の変更なども含め議論する。

6月20日に開く法制審の臨時総会で諮問する。2011年の民法改正でも懲戒権の存廃の是非は議論となった。削除は見送ったものの「子の利益のため」になる場合に認められると明記していた。それでもなお、懲戒権が「しつけ」を口実とした虐待につながっているとの見方は根強い。

今国会では親による体罰禁止を盛った児童虐待防止法と児童福祉法の改正案を審議中だ。改正案では施行後2年をめどに懲戒権のあり方を検討するとしており、法務省は対応を急ぐ。政府・与党には参院選を前に対応を急ぐ姿勢を示す狙いもありそうだ。

(日本経済新聞より引用:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45499810R30C19A5EAF000/)

 

 

(1)懲戒権とは?

民法には以下のような条文があります。

 

民法 第820条(監護及び教育の権利義務)

親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

 

民法 第822条(懲戒)

親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。

 

親などの親権者は子どもの非行に対する教育のために、子どもの身体・精神に苦痛を加えるような懲罰手段をとることができます。

懲戒は、子どもの利益(820条)のため、教育の目的を達成するためのものであり、その目的のために必要な範囲内でのみ認められます。この範囲を超えて、過度の懲戒を加えたときは、懲戒権の濫用となり、傷害罪・暴行罪・逮捕監禁罪などの犯罪行為となる場合もありえます。

 

 

(2)子どもへの体罰に関する規定のある法律

参考までに、「子どもへの体罰に関する規定のある法律」をご紹介しますね。

 

「学校教育法」という学校教育制度の根幹を定める法律には、以下のような条文があります。

学校教育法 第11条

校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

 

また、「児童虐待防止法」という児童虐待を防止を目的として制定された法律には、以下のような条文もあります。

児童虐待防止法 第14条

一 児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、その適切な行使に配慮しなければならない。

二 児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。

 

 

(3)まとめ

前述の記事にもあるとおり、懲戒権を盾に親から子への虐待を「しつけ」と称して正当化する口実として悪用されているとの指摘があるのが現実です。

今回、このニュースがきっかけで、懲戒権や体罰に関する法律などを調べてみましたが、特に近年相次ぐ子どもの虐待事件などを背景に、その時代にあわせて改正が進んでいるようです。

私は、パートナーとその子どもたちと暮らしていますが、虐待とは無縁の生活をしています。むしろ、パートナーの子育て上手なのもあると思いますが、のびのびと、そしてイキイキと生活しています。

本来、子どもは親の愛情を一身に受けて、幸せに育つ権利があります。

今後も法整備が進み、日本・世界の未来を担う子どもたちが一人でも多く、のびのびと自分らしく生きていける世の中になっていったら最高だと考えます。

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