養子にも種類がある!?「養子縁組」とは?
公開日 2019年6月1日 最終更新日 2019年7月4日

今回のテーマは、「養子縁組」です。
ポイントは、一口に養子縁組と言っても「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があり、それぞれの制度には違う特徴があるということです。2種類の養子縁組の特徴や条件などを以下にお伝えしますので、養子縁組を検討している方などのお役に立てましたら幸いです。
(1)養子縁組とは?
「養子縁組」とは、実の親子関係のない人との間で、法律上において親子関係を発生させる制度のことです。
この養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2つがあり、養子と呼ぶ場合は「普通養子縁組」を指すことが一般的です。養子は養子縁組をした日から、法律上は実の子と同じ扱いになります(法定相続人になるなど)になります。つまり、養親に実の子がいた場合であっても、養子と実の子は同じ権利を持つことになります。
(2)養子縁組の種類
養子縁組には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。
普通養子縁組
普通養子縁組では、養親との間に法律上の親子関係が成立しますが、実親との親子関係が解消されるわけではなく、普通養子縁組によって養子となった人は、実親と養親の2組の親を持つことになります。
つまり、実親と養親の両方に対して、財産を相続するなどの権利を持ちます。
特別養子縁組
特別養子縁組とは、子どもの福祉の増進を図るため、1987年から導入された制度です。普通養子縁組とは異なり、実親との親子関係が解消され、新たに養親のみが法律上の親となります。つまり、実親の財産を相続するなどの権利は、特別養子縁組をすることによって無くなります。このように、特別養子縁組は、実親との親子関係を完全に断絶する制度です。
例えば、養子縁組の仲介機関や児童相談所などの仲介を受けて、親もとで養育されていない子と特別養子縁組をするケースなどがあります。
(3)誰でも養子になれる(条件)?
養子縁組が認められるための条件ですが、普通養子縁組よりも特別養子縁組の方が厳格に定められています。
以下にそれぞれの養子縁組の条件をまとめました。
普通養子縁組
①養親が成年者であること
②養子が尊属または年長者でないこと
③後見人が被後見人を養子とするには、家庭裁判所の許可を得ること
④結婚している人が未成年者を養子にする場合は、夫婦共に養親になること
⑤養親または養子となる人が結婚している場合は、配偶者の同意を得ること
⑥養親となる人が養子となる人の養親となる意思があること
⑦養子となる人が養親となる人の養子となる意思があること(養子となる人が15歳未満の場合は、法定代理人が代わりに承諾する)
⑧養子となる人が未成年者の場合は、家庭裁判所の許可を得ていること(養子が自分や配偶者の直系卑属の場合は許可不要)
⑨養子縁組の届出をしていること
特別養子縁組
①養親は夫婦共同でならなければならない
②養親は少なくとも一方が25歳以上、他方が20歳以上でなければならない
③養子は6歳未満でなければならない
④実の親の同意がなければならない
⑤父母による育児が不適切等の場合において、子の利益のために特別の必要があると認められるとき
(4)メリットとデメリットは?
メリット
親子関係が実の子と同じように成立することです。それによって、養子は法定相続人になるので、養親がなくなった場合など、財産の相続を確実に行うことができます。また、家業の承継や姓の存続など、さまざまな目的を達することができます。
デメリット
実の親子関係ではないので、一定の条件を満たせば離縁(養子縁組を解消すること)することができます。したがって、長年に渡って形成されてきた関係が、何かしらのトラブルなどが原因解消してしまうことも考えられます。
(5)まとめ
いかがでしたか?
今回は、それぞれの養子縁組の概要を簡単にお伝えしました。
大切なポイントは、特別養子縁組は、実親との親子関係が解消され、新たに養親のみが法律上の親となることです。