特別縁故者 ~事実婚でもパートナーの相続人になれる方法~

公開日 2019年4月26日 最終更新日 2019年8月31日

今回のテーマは、「特別縁故者」です。

これは、「事実婚」を選択されたカップルは、もしもの場合に備えて知っておきたい知識の一つです。なぜなら、事実婚のパートナーに財産を残すことができる方法の一つだからです。

「事実婚」とは、婚姻届を提出していないけれども、実生活において夫婦と認められるような男女の関係のことを指します。法律上の夫婦としては認められませんが、普段幸せに日常生活を送っているときは、婚姻届を提出している(法律婚)夫婦と、ほとんど変わりなく過ごすことができます。

しかし、もしもパートナーが亡くなった場合・・・
あまり考えたくないと思いますが、いつかは必ず訪れてしまうそのとき・・・。

そこには、一つの大きな壁がそびえ立ちます。

 

たとえ、何年何十年も生活を共にしてきた2人であっても、相続人になることができません。

これは、事実婚の大きなデメリットと言っても過言ではないかもしれません。

※詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

事実婚の方に知ってほしい!「事実婚」で考えられる5つのデメリット

 

法律上、配偶者は相続人(法定相続人)になると定められていますが、配偶者はあくまでも「法律上の婚姻関係にある」配偶者に限られてしまいます。つまり、婚姻届を提出している夫婦(法律婚) に限られ、事実婚夫婦の配偶者は、該当しません。

事実婚夫婦の場合には、生前に遺言書を残こすことで、パートナーに財産を残すことが可能となります。

この遺言書以外に、別の制度として、「特別縁故者」という制度があります。

 

 

(1)「特別縁故者」とは?

法定相続人(配偶者、子ども、両親、兄弟姉妹)がいない、かつ法定相続人以外の人に財産を譲るという遺言もない場合は、その財産は国庫に帰属することになります(国のものになる)。しかし、法定相続人や遺言とは別に、一定条件に該当する場合に、被相続人の財産の相続権を認めるという制度があります。

 

それが「特別縁故者」という制度です。

「特別縁故者」とは、この制度の一定の条件に該当し、特別に相続権が発生した人のことです。

被相続人と生計をともにしていた人や被相続人の療養看護に努めた人などがこれに該当します。

 

※あくまでも、相続人が存在しない場合で、相続財産が行き場を無くしてしまった場合の制度となります。

 

(2)特別縁故者の要件

「特別縁故者になりたい!」と言って、誰でもなれるわけではありません。
特別縁故者になるためには、以下いずれかの要件に該当している必要があります。

※事実婚の場合は、①の要件に該当する可能性が高いです。

 

①被相続人と生計を同じくしていた者

事実婚のパートナーで被相続人と一緒に暮らしていた人や、事実上の養子関係にある人(養子縁組をしていない、配偶者の連れ子など)が該当します。

 

②被相続人の療養看護に務めた者

被相続人の家事全般をサポートしていたり、看護や介護にあたっていた人が該当します。
ただし、これらのを「業務」として請け負い、報酬を得ていた看護士、介護士、家政婦などは該当しません。

 

③その他被相続人と特別の縁故があった者

生前に被相続人との間に、①②に準ずる程度の交渉があり、これらと同じ程度に被相続人と密接な関係があったと考えられる人が該当します。

 

 

(3)「特別縁故者」の申立の手続き

特別縁故者が財産を受け取るためには、特別縁故者の要件を満たしている本人が家庭裁判所に「特別縁故者に対する財産分与の申立て」手続きを行う必要があります。

誰かが「特別縁故者になってください」と自動的に認めてくれるものではありません。
また、家庭裁判所に申し出ても、すぐに財産をもらえるわけではありません。特別縁故者に選定され、財産を受け取るまでには、次のような手続きが必要になります。

①相続財産管理人の選任
②相続人の捜索
③特別縁故者に対する相続財産分与の申し立て
④特別縁故者の認定

 

 

(4)まとめ

いかがでしたか?

さまざまな事情で亡くなったパートナーに相続人がいない場合、特別縁故者として残されたパートナーに財産を残すことができます。特別縁故者になるためには、1 年以上かかる可能性もあり、また必ず特別縁故者になれるわけでもありません。

特別縁故者は、遺言書もなく、相続人もいない場合の最後の手段です。もし、パートナーに財産を残したいとお考えであれば、遺言書を残しておくということがより確実で安心ですし、オススメです。最悪の事態になってしまってから、あたふたするのではなく、事前に遺言書を書くことで、相続人になることができない事実婚のパートナーの権利をカバーすることができます。

今回は、特別縁故者という制度の存在を知っていただきたく、このテーマを取り上げました。

この機会に最愛のパートナーと、将来のことに真剣に向き合う時間をもっていただくようなきっかけになり、より幸せな日々を送っていただけましたら嬉しいです。

事実婚契約書、遺言書作成、相続手続きなどに関するご相談は、弁護士、税理士、司法書士、行政書士が得意としています。

当事務所でも、遺言書作成や特別縁故者などに関するご相談も受け付けております。

 

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