「事実婚」における税金面でのデメリットとは?

現状の日本の法制度では、事実婚夫婦が法律婚夫婦と同じ扱いを受けられるかと言えば、そうではない部分が多々あります。
その中で、法律婚夫婦と同じ扱いを受けることができる社会保険制度(健康保険と厚生年金)について、以前お伝えしました。
今回は、税金面について、見ていきましょう。
事実婚の妻(夫)も法律婚のように、税金面でのメリットを受けられるのでしょうか?
Contents
(1)税法上の規定
「事実婚」の場合、法律上の夫婦とは認められないことから、配偶者に適用される以下の税金については、その適用を受けることができません。
- 所得税の配偶者控除や配偶者特別控除
- 贈与税の配偶者控除
- 相続税の配偶者の税額軽減
など
※税法上では、民法の規定による配偶者を対象としているため、税金面では法律婚と比べて不利になると言えます。
民法 第739条1項
一 婚姻は、戸籍法 (昭和22年法律第224号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
上記の条文から、民法の規定による配偶者とは「婚姻届を提出した者 = 法律婚夫婦」ということがわかります。
(2)所得税の配偶者控除とは?
所得のない、あるいは所得の少ない配偶者を持つ人に対して、税金を安くする制度です。
詳細は、以下でご確認ください。
(3)所得税の配偶者特別控除とは?
配偶者控除の設定している条件よりも所得がやや高い配偶者を持つ人に対して、税金を安くする制度です。
詳細は、以下でご確認ください。
(4)贈与税の配偶者控除とは?
配偶者が居住用不動産の購入またはその建築資金を贈与されたときに、贈与された金額から2,000万円まで控除できる制度です。
なお、婚姻期間が20年以上の配偶者が対象です。
詳細は、以下でご確認ください。
(5)相続税の配偶者の税額軽減とは?
亡くなった方(被相続人)の配偶者が相続した財産が、以下①②の金額のうちのいずれか多い方の金額以下である場合には、相続税がかからない制度です。
①1億6000万円
②配偶者の法定相続分相当額
詳細は、以下でご確認ください。
(6)最後に…
いかがでしたか?
事実婚の場合、相続が発生した際には、事実婚のパートナーは法定相続人としての権利はありません。
したがって、ずっと一緒に暮らしてきて、お二人で築いてきた財産もパートナーの手に渡らずに、パートナーの親や兄弟姉妹に相続されて、その財産を失ってしまいます。
そうならないために、「事実婚」を選択された方は、万が一のときに備えて、財産をパートナーに遺贈する旨の遺言書を作成するなどの事前準備が不可欠となります。
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